大阪大学の金子真教授らの研究グループは、世界最高のデータ相関値を誇るマイクロ流路埋め込み型の赤血球硬さチェッカーを開発。循環器系患者と健常者の赤血球を極細人工血管内に通過させた際に、統計的有意差(統計学的に客観的な差)が現れることを明らかにした。

 これまで、マイクロ流路(注)を用いる赤血球硬さ計測法は、スループット(単位時間当たりの処理能力)が高いという大きなメリットがある反面、取得データの信頼性が保証されないという問題があり、実用化には遠い状況にあった。特にチップ内細胞速度(硬さの評価指標)と変形度合いとの間の相関は0.3~0.8(相関値の最高は1.0)にとどまっていた。

 研究グループは新たな流体工学的着想に基づき、硬さの評価指標計測チップの内流路設計を根本的に見直した。それにより、チップ内細胞速度と変形度合いとの間に平均相関0.92という世界最高の相関値を得ることに成功し、実験データの信頼性を確保した。さらに、開発したチップにより、循環器系患者と健常者との赤血球硬さ指標に有意な差が存在することを見出した。

 今回の成果により、循環器系疾患患者リスク評価における赤血球硬さ指標という新しいバイオマーカーの導入が現実味を帯びてくる。さらに、心筋梗塞・脳梗塞などの循環器系疾患における新しい病態解明、さらに赤血球硬さをターゲットとした新しい治療法の開発が期待される。

(注)マイクロ流路は基板(マイクロチップ)上の微小な通路に物質を通して、さまざまな分析を行う装置。赤血球をその大きさより狭い流路に通すと、硬い赤血球ほど変形しにくくなるため通りにくくなる。赤血球が硬くなると血液の粘度が増し、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まるとされる。

大阪大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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