北海道大学医学研究科の須藤英毅特任准教授と情報科学研究科の金井 理教授は、ヒトの背表面を3次元計測した形がどの程度非対称になっているかを評価する方法を独自に開発し、側弯症検診に応用可能な「背表面3D 対称性認識システム」として完成させた。

 「特発性側弯症」は、背骨が回旋しながら大きく弯曲し、3次元的に変形する疾患。思春期女児に多くみられ、発症頻度は50人に1人程度と非常に高い。近年、疾患に関係する遺伝子も見つかり、病気の原因についての研究も進んでいて、治療法の開発もなされている。

 側弯症は進行性の疾患で、30°以上弯曲した時点で装具をつけることが有効とされているため、効果的に治療を進める上で早期発見が重要である。すでに「学校保健安全法」に基づき、側弯症の早期発見を目的とした検診が小中学校で行われているが、その運用は各自治体の医師会や教育委員会に任されていることから、地域間での発見率の違いや、限られた時間内で多くの児童・生徒の検診を行う医師の負担などが大きな課題となっている。

 これらの課題を解決するため、須藤特任准教授と金井教授は「特発性側弯症」を専門医不在でも早期発見できる「背表面3D対称性認識システム」を完成させた。3Dスキャナで背中上の複数の点を計測するため、どのような位置・姿勢から計測しても、被検者の背中の形が理想的な左右対称形からどの程度ずれているかを数秒で評価し、コンピュータ上に可視化できる。これにより、短時間で効率的で高精度な側弯症の検診の実現が期待されている。

 すでに株式会社ノアとの産学協働により販売も可能な「側弯検診用プロトタイプ機」も完成させており、実用化へ向けた臨床研究へ発展が期待される。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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