基礎生物学研究所、慶應義塾大学、九州大学の研究グループは、日本独自の研究資源であるアサガオの全ゲノム配列をほぼ完全に解読することに成功。多方面での活用が期待される。

 アサガオは古くから日本人に愛され、観賞用として品種改良が進み、世界でも類を見ない日本独自の文化の一部になっている。国内での学術研究の歴史も今年で100年を迎え、多くの突然変異体の存在により、精力的な遺伝学的研究がなされているという。研究での活用促進のため、2010 年に国内の研究者が集まり全ゲノム配列解読の共同研究が始まった。

 選ばれたアサガオは東京古型標準型という実験系統で、解読には国立遺伝学研究所の最新鋭 DNA 配列解析装置(第三世代シークエンサー)を使用。全ゲノム配列の98%に相当する7億3,500万塩基を読み取り、計算機で3,400本のDNA配列としてつなぎ合わせ、約43,000の遺伝子を確認した。また、ゲノム上の位置を移動(転移)できる、動く遺伝子とも呼ばれるDNA配列(トランスポゾン)が340見つかり、この多さが多彩な品種を生じたもととされる。さらに、「渦」と呼ばれる変異の原因遺伝子なども新たに判明した。他生物との比較解析により、アサガオとトマトの祖先が75万年前に分岐し、各系統でゲノム全体が倍になる全ゲノム重複が生じたことも分かった。

 今回、ゲノム配列からトランスポゾンや渦遺伝子の発見がわずか数カ月でなされたことは、アサガオ研究100年目のイノベーションだという。今後はアサガオだけでなくサツマイモやナス、ジャガイモなどの近縁の有用作物や寄生植物などの研究にも応用可能で、アサガオがモデル植物として世界中の多くの研究者に活用されることが期待される。

九州大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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