政府の法曹養成制度改革推進会議(議長・菅義偉官房長官)は、入学生の募集停止や廃校方針発表が相次ぐ法科大学院について、組織見直しや教育の質向上を柱とする制度改革の方向をまとめました。今後、この方向に従い、文部科学省や法務省で具体的な検討が進められますが、一部有名校を除いて入学生の激減や司法試験合格率の低迷に悩むところが多く、抜本的な見直しが避けられない状況です。

同推進会議は2015年度から2018年度の4年間を法科大学院の集中改革期間と位置づけ、抜本的な組織の見直しや教育の質向上で、各大学院修了者のおおむね7割以上が司法試験に合格することを目指すとしています。組織面では、司法試験合格率50%未満、定員充足率50%未満、入試競争倍率2倍未満など課題が残る大学院に対し、教育の実施状況を調査し、問題点の解決を求める方針です。
教育の質向上では、大学時代に法律を勉強していない大学院生に対し、法律基本科目の単位数を増やす一方、2018年度をめどに客観的に進級を判定する共通到達度確認試験を導入することにしています。さらに司法試験での選択科目試験や予備試験制度のあり方についても検討を進めます。

法科大学院は米国のロー・スクールをモデルに2004年に創設され、全国で国公私立合わせて74校に設置されました。就学期間は2、3年で、修了すれば予備試験なしに司法試験を受験できます。しかし、一部の有名校を除けば入学希望者の減少や司法試験合格率の低迷が続いているほか、日弁連法務研究財団など認証評価機関から法科大学院に不適合と判定されるところも相次いでいます。
このため、2011年度の姫路独協大を皮切りに、神戸学院大、明治学院大など7校が2014年度までに募集を打ち切りました。2015年度以降の募集停止を明らかにしているところも、香川大、神奈川大、東海大など22校に上っています。

出典:【内閣官房】法曹養成制度改革の更なる推進について(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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