芝浦工業大学電気工学科の高見弘教授は、スターリングエンジンとソーラーパネルを組み合わせ、災害時などに電気とお湯を供給できる軽自動車型ハイブリッド電源車を開発した。

 スターリングエンジンとは、シリンダー内のガス(または空気)を外部から加熱・冷却し、熱エネルギーを運動エネルギーに変換する外熱機関。既存のエンジンより高効率で、外部から暖めれば良いため廃材などの利用が期待できるるほか、特に今回採用しているフリーピストンタイプのスターリングエンジンは、機械構造が簡単で寿命が長いとされている。

 2014年11月、経済産業省の規制緩和により、出力10kW未満のスターリングエンジン発電設備が一般用電気工作物として区分され、スターリングエンジンの実用化が期待されているが、一方で、フリーピストンスターリングエンジンに一般的な発電制御用コンバータシステム(交流を直流に変換する機器)を接続すると、コンバータが出す高調波によってエンジンが不安定になるという課題があった。

 そこで、以前よりスターリングエンジンの研究に取り組んできた高見教授は、この課題を解決するコンバータを開発。燃料となる3kg(120 円程度)の木質バイオマスペレットを1時間燃焼し、1kWの電力(スマートフォンの充電約70台分)と45℃・200Lの温水(バスタブ 1 杯分)を提供できるスターリングエンジンと、日中は1時間で最大600Wが発電できるソーラーパネルにより、発電とともに48V、110Ahの蓄電池に充電することも可能なシステムを軽トラックの荷台に収まるサイズで構築。

 燃料に使う木質バイオマスペレットは、主に植物が光合成によって大気の二酸化炭素を吸収してできた“エコ燃料”の一種で、燃焼させても元に戻り、大気の二酸化炭素を増やさない。また、発電システムは、軽トラックの荷台にパッケージされているため、支援が必要なエリアへすぐに駆けつけられるほか、蓄電も行えるため、夜間や天候不良時の急な大電力消費に備えられるなどの特徴がある。

 現在、システムの一部を「フリーピストンスターリングエンジン発電装置」として特許申請中。今後は操作を自動化したうえで雨天時にも安定稼働できるよう耐久性を高め、将来的には専用の燃料でなく災害で発生したガレキなどの廃材を燃料としてその場で調達し、発電できる電源車の完成を目指す。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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