文部科学省が若者の東京一極集中解消を目指して公募した2015年度の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」に、全国から56件の応募がありました。地方自治体や企業と力を合わせて魅力ある学生の就職先を創出するとともに、地域が求める人材育成に必要な教育カリキュラムの改革を進める大学に補助金を交付する事業で、8月に有識者による選定委員会で審査し、結果を公表する予定です。

事業の対象は国公私立大学、短大、高等専門学校。文科省のまとめでは、7月初めまでの受付期間に神戸大、山形大など国立大37校、滋賀県立大、岡山県立大など公立大7校、東京農業大、東北学院大など私立大10校、函館工業高専、津山工業高専の国立高専2校から申請が届きました。補助金交付の内定は9月になる見込みです。

この事業は2014年度まで進められてきた「地(知)の拠点整備事業」を発展させたもので、従来の地域再生の核となる大学の整備にとどまらず、地域産業を担う若者を育てるため、自治体、企業、NPO法人、民間団体などと協力して地域の雇用創出や学卒者の地元定着率向上を目指す計画を策定するとともに、大学の教育カリキュラム改革を実行。地域に残って働く若者を増やし、若者の東京一極集中を解消することを最終目標としています。助成総予定額は44億円。

少子化時代を迎え、地方の人口減少は深刻さを増す一方です。中でも頭が痛いのが若者の東京流出で、若年人口の流出は、大学に進学したときと大学を卒業して就職するときに集中しています。学生が地元に残って就職するには、在学中から授業などを通じて地元と関わりを深める取り組みや、地元に雇用の場を創出することが欠かせませんが、これまでそうした取り組みが十分ではなく、大きな成果を残せていないところがほとんどです。そこで、文科省は大学が持つ専門知識を活かした産業振興、雇用創出策としてこの事業を進めることにしました。

出典:【文部科学省】平成27年度「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」申請状況について

大学ジャーナルオンライン編集部

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