オオツノコクヌストモドキ(コウチュウ目ゴミムシダマシ科)という昆虫のオスが、他のオスとの戦いに負けた後、4日間は他のオスと出会っても戦わず逃げ続けるという現象が、2010年に岡山大学の宮竹貴久教授の研究室で発見されていた。今回、同研究グループは、この現象を数理モデルで解析。逃げ続けることにより、他と比較して多くの子孫が残せることを見出した。

 今回用いた手法は、「個別ベースモデル」と呼ばれるシミュレーション。各個体の状態、行動、相互作用などをアルゴリズムとして定め、各個体がどのように変化していくか、コンピュータを用いてシミュレートする数理モデルで、動物の行動様式の進化の観点から解析を行った。考察の焦点は、4 日間逃げ続けるという行動が、他の行動(例えば、逃げない、1日間逃げる、2日間逃げるなど)より多くの子孫を残せるかどうか(有利であるかどうか)。有利であれば、長い時間の経過後に、集団は「4日間逃げる」個体で占められることになる。

 研究では、負けた記憶があるか、もしあるのなら何日前に負けたか、今までの闘争によるダメージの蓄積具合などの状態を考慮。コンピュータ内で、仮想的に201個体の昆虫を設定し、ランダムに抽出した個体を戦わせ、負けた個体はある期間逃げ続けるというロールプレイングゲームに似たシミュレーションを実行した。その結果、集団内で一日にオス同士が出会う回数が 60~100 回という条件下では4日間逃げつづけるという行動が、他と比べて有利であることが分かった。

 動物の行動様式は、進化の結果獲得されたものとされる。今回の研究方法が、進化ダイナミクスの様々な研究に応用されることが期待される。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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