筑波大学、北海道大学、基礎生物学研究所、関西医科大学、理化学研究所バイオリソースセンターの共同研究グループは、ショウジョウバエとマウスの生殖細胞の形成に共通して「ovo」と呼ばれる遺伝子が必要であることを明らかにした。

 ショウジョウバエの産卵直後の卵の後端には「生殖質」という特殊な細胞質が分布しており、これを取り込んだ細胞が生殖細胞となり、取り込まなかった細胞は個体の体を作る体細胞になる。これまで、生殖質には生殖細胞の形成に必須な遺伝子をオンに(活性化)する転写制御タンパク質が含まれるとされてきたが、その実体は不明だった。

 今回、そのタンパク質がovo遺伝子から産生されるOvoタンパク質であること、そのタンパク質は生殖質を取り込んだ細胞の核の中に分布し、「生殖細胞でオンになる遺伝子」を活性化するが、「体細胞でオンとなる遺伝子」を不活性化することが判明した。これはOvoタンパク質が遺伝子制御を通して、生殖質を取り込んだ細胞が生殖細胞になることを促すが体細胞になるのは妨げていることだという。実際に、ショウジョウバエにおいてOvoタンパク質の働きを抑えると生殖細胞の形成が異常となる。さらに、系統的にショウジョウバエとは遠い関係にあるマウスでも、同様の構造を持つovo遺伝子(ovol2)の働きが生殖細胞の形成に必要であることが分かった。

 今回の成果は、多くの動物の生殖細胞形成に共通する遺伝子制御機構が存在することを示唆している。今後、マウスなど多くの動物の生殖細胞形成過程について、Ovoタンパク質により制御される遺伝子の保存性を解明することで、生殖細胞形成の共通原理が明らかになることが期待される。

北海道大学

産業界や地域との連携を強固に「北海道大学ならではの実学」が世界をリード

北海道大学の起源は、1876年に設立された札幌農学校に遡る。長い歴史の中で、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」及び「実学の重視」という基本理念を掲げ、培ってきました。 この理念の下に国際的に通用する高度な学問的素養をもち、的確な判断力とリーダ[…]

筑波大学

学際融合・国際化への挑戦を続け、知性と人間性を備えた人材を育成

学問文化の薫り高い国際都市、筑波サイエンス・シティの中核となる緑あふれる筑波大学。現在の教育体制は9学群・23学類、全ての分野から専門導入的な科目を履修することができ、創造的な知性と豊かな人間性を備えることをめざしています。師魂理才をもって、地球規模課題の解決[…]

関西医科大学

人間愛を心の規範とする、医師・看護師・療法士を育成

1928年に創立された医療系複合大学。”慈しみ めぐみ 愛”を心の規範とし、高度な医学的知識に裏打ちされた人間性豊かな医療人を育てています。医学部・看護学部・リハビリテーション学部のどれもが、最先端の設備・機器やトップクラスのシミュレーション環境、そして経験豊[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。