岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構生体情報解析部門の清水厚志特命教授、八谷剛史特命准教授を中心とした研究チームは、ゲノム情報に基づく疾患のかかりやすさ(発症リスク)を予測する新規手法を開発した。さらに、東北地方に多い脳卒中に着目し、国内の多数のコホート研究・バイオバンクと共同で、ゲノム情報に基づく脳梗塞の発症リスク予測法を確立し、この予測法が脳梗塞の3つの病型全てでリスクを予測できること、脳梗塞の発症リスクを高めるとされている生活習慣病の罹患と独立していることを明らかにした。

 脳卒中は日本人の死因の第4位、要介護原因の第1位で、その6割を占める脳梗塞の患者数は80万人にのぼり、年間6万5千人が死亡している。高齢化が急速に進む日本では患者数はさらに増加することが予想され、個別化医療・個別化予防の観点からも重要視されている。自分自身の脳梗塞のかかりやすさを知ることは、生活習慣の改善による予防につながることから、これまでも脳梗塞と関連の深い遺伝子多型を同定しリスクを予測しようとする研究が行われてきた。だが、これまでにみつかった遺伝子多型では発症リスクを十分に予測することができなかった。

 東北メディカル・メガバンク機構では、宮城、岩手の両県で住民の生活習慣と体質を調べ、その後の病気発生との関連を明らかにする大規模コホート調査をすすめてきた。その成果として、健康調査と全ゲノム配列状況を含む生体試料の解析情報を世界で初めて統合した統合データベースを開発している。研究チームは従来の「どの遺伝子多型が発症と関連するか」というアプローチではなく、統合データベースを活用して「すべての遺伝子多型をリスク評価に用いる」というリスク計算に重点を置いたアプローチを取ることにより、ゲノム情報に基づく脳梗塞の発症リスク予測法を確立した。

今後、開発された手法を用いて一人ひとりが自身のリスクを知り、生活習慣の改善などに役立てることで、脳梗塞の予防に寄与できる可能性がある。また、脳梗塞以外の、がんやうつなど様々な疾患に応用することで、一人ひとりの体質に合わせた個別化医療・個別化予防の一助となることが期待されている。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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