国立極地研究所、東京大学大気海洋研究所を中心とする31機関の研究グループが、南極ドームふじで掘削されたアイスコアを使い過去72万年分の気温とダストを解析。氷期のうち中間的な気温を示す時期に、気候の不安定性(変動しやすさ)が高くなること、その一番の原因が温室効果の低下による全球の寒冷化であることを解明した。

 気候変動の起こりやすさ(気候の不安定性)は、地球の自然環境や人間社会に大きな影響を与える。そのため、不安定性が過去どのような時期に高まっていたのかを知り、その原因を解明して気候モデルで再現することは、今後、地球温暖化によって不安定性が増すのかどうかといった問題にも重要だ。過去を見ると、南極とグリーンランドの多数のアイスコアの研究から、最終氷期(約10万年前~2万年前)には南極で数千年スケールの気温変動が25回以上も起きたことや、それらが北半球の急激な温暖化や寒冷化と関係していたことが分かっている。

 しかし、最終氷期より古い時代についてはデータが少ない上にアイスコアの時間分解能が低いため、気候の不安定性と平均状態の関係や、不安定性を誘発する原因についての理解が進んでいなかった。

 本研究により、複数の氷期を含む長期の傾向やメカニズムが初めて明らかになった。また、現在まで1万年以上続いている間氷期(温暖期)が将来にわたって安定である保証はなく、現存するグリーンランド氷床の融解によって気候の不安定性がもたらされる可能性も示唆された。

 なお、本研究で使用されたドームふじアイスコアは、南極地域観測事業で2001年~07年に実施された「第2期ドームふじ観測計画」により2003年~07年に掘削されたもの。また、気候モデルによる数値実験には、海洋研究開発機構の「地球シミュレータ」が利用された。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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