日本は世界最高レベルの献血・輸血システムを備えていますが、赤血球の保存期限は3週間と短いため、大規模災害など短時間で多数のケガ人が発生した場合に輸血用血液が不足する可能性があります。また現在、日本では輸血用血液製剤の85%が50歳以上の患者に使用されており、少子高齢化が進行して献血者層(若年層)の人口が減少すると、2027年には年間89万人分の血液が不足すると予測されています。こうした背景から、血液型に関係なくいつでも誰にでも使用できる人工酸素運搬体の実現が強く望まれており、8月3日、中央大学理工学部応用化学科小松晃之教授らの研究グループは、人工酸素運搬体の製剤化(製剤名:ヘモアクト™(HemoAct™))に成功したと発表しました。

 これまでも赤血球の中にある酸素輸送タンパク質、ヘモグロビンを化学修飾した修飾ヘモグロビン製剤が欧米を中心に合成されてきました。しかし、不均一な構造、副作用(血圧上昇)などの問題が解決できず、2015年4月時点で認可された製剤はありません。同研究グループは、慶應義塾大学医学部、崇城大学薬学部、熊本大学薬学部のグループと共同で動物実験を行い、ヘモアクト™が血圧上昇などの副作用をはじめとする従来のヘモグロビン製剤が抱えていた問題をもたない、安全性の高い製剤であることを実証しました。

 長期保存可能な人工赤血球がバッグに入った状態あるいは粉末として常備され、緊急時に必要量を患者に供給できる体制の確立は、近未来の医療現場の理想的な姿です。ヘモアクト™の用途・利用分野は広く、救急医療はもちろん、脳梗塞の治療や、移植臓器の保管などにも役立つと期待されます。実用化すれば、世界的な市場が見込まれています。

出典:【中央大学】災害などで大量に輸血が必要になった時に使える人工血液を開発

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大学ジャーナルオンライン編集部

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