東京大学大学院工学系研究科の酒井崇匡准教授(バイオエンジニアリング専攻)と筑波大学医学医療系の岡本史樹講師(眼科学)は、JST課題達成型基礎研究(さきがけ)の一環として行った共同研究で、長期埋め込み可能な人工の硝子体の開発に成功した。長期埋め込み可能な人工の硝子体が開発されたのは、世界で初めて。

 ハイドロゲルは生体軟組織に似た組成を持っているため、医療材料として注目を集めている。特に、注射により生体内に埋植が可能で、生体内でゲル化するインジェクタブルゲルはさまざまな医用用途への応用が期待されている。ところが、生体内でゲル化を誘起する反応が周辺組織に刺激を与えることや、生体内において周囲の水を吸い込んで膨らみ、周辺組織を圧迫する等の問題があった。眼科領域においては、長期埋植が可能な人工硝子体が求められており、さまざまなハイドロゲルの応用研究がなされてきたが、上記の理由から成功例はこれまでなかった。また、ゲルの膨潤を制御する試み自体これまで、ほとんどなされていなかった。

 本研究グループは、新たな分子設計により、生体内に直接注入可能な、含水率のきわめて高い高分子ゲル材料を作製して動物モデルに用い、ハイドロゲルによる網膜剥離の長期にわたる治療を世界で初めて実現させた。これは、研究グループが作製した高分子ゲル材料が人工硝子体として有用であるということを示すもの。

 本研究成果は今後、網膜疾患を含む眼科系疾患の治療に役立つことが期待される。さらに将来的には、癒着防止剤、止血剤、再生医療用足場材料等への応用も期待されている。

筑波大学

文系、理系から体育、芸術にまで及ぶ学問を探求し、学際融合、国際化への挑戦を建学の理念とする未来構想大学。

筑波大学は1872(明治)年に開校されたわが国初の師範学校が始まりです。その後、昭和48年に移転を機に東京教育大学から筑波大学へと変わりました。現在の教育体制は9学群、23学類ですが、学生は枠組みを超えて講義を受けることができ、創造的な知性と豊かな人間性を備え[…]

東京大学

明治10年設立。日本で最も長い歴史を持ち、日本の知の最先端を担う大学

東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

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大学ジャーナルオンライン編集部

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