京都大学農学研究科の小野田雄介助教を中心とする国際研究チームは、世界各地で調査された多種多様な植物に関する研究結果を集約・精査し、長い寿命に必要な丈夫な構造や細胞壁が光合成の効率を低下させるメカニズムを世界で初めて明らかにした。

 我々の身の回りには道脇の雑草から冬に葉を落とす落葉樹、通年葉をもつ常緑樹など多種多様な植物がいる。一般的に長生きの葉ほど厚く、光合成を行う組織が多いが、光合成速度は高くない。この「長生きの葉ほど光合成の効率が低い」というルールは世界共通だが、その原因は不明だった。

 今回,日本、オーストラリア、ドイツ、エストニアの研究者が世界各地の植物データ、特に葉の解剖学的構造や栄養の分配情報に関するデータを集約し、のべ1000種を超える新規のデータベースを構築した。

 解析の結果、長寿命の葉は細胞壁が多いために、多くの養分が細胞壁に分配され、光合成を行うのに必要な光合成タンパク質への分配割合が低下することが分かった。さらに、細胞壁が厚いために、葉緑体への二酸化炭素供給の効率が低下し、光合成効率が低下することが明らかになった。つまり、丈夫な構造と効率的な光合成システムは両立できないことになる。植物の進化の歴史において、光合成の効率をあげるか長生きするかという自然選択が働くことにより、短期間で高い光合成を行う短命な植物(草など)と、光合成効率は低いが長生きする植物(常緑樹など)に分化してきたと考えられるという。

 今回の研究は葉の形質多様性の原理を明らかにし、植物の多様性を理解することに役立つ。また植生の変化予測や、植物育種における基礎的知見として貢献することが期待される。

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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