岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の窪木拓男教授、大島正充助教、大野充昭助教、理化学研究所多細胞システム形成研究センターの辻孝チームリーダーらの研究グループは3月14日、器官原基を再生する細胞操作技術を用いて、ビーグル犬の完全な歯の再生を実証したと発表した。

 高齢社会を迎えた現代では、咀嚼や嚥下などの口腔機能の機能回復の必要性が高まっている。歯を失った場合、入れ歯や差し歯、インプラントなどの代替治療が行われているが、天然の歯に比べると生理機能面で劣るため、歯そのものの再生治療が期待されている。
研究グループはマウスにおける歯胚や歯周組織の器官としての再生技術の開発を進めてきたが、これらの技術がヒトに応用されるには大型動物による成功が必要だった。

 今回、研究グループは、胎齢55日のビーグル犬胎仔の顎骨から、帽状期に該当する第一大臼歯の永久歯歯胚を摘出する技術を確立し、マウスモデルでの歯胚再構成技術に準じて再生歯胚を作製した。このイヌ歯胚由来細胞による再生歯胚を免疫抑制マウスの腎臓被膜下に移植したところ、移植8週目で天然歯と同等の組織構造を有する再生歯が発生することが明らかになった。
再生歯は構造的にも機能的にも天然歯と同等のものであり、大型動物モデルでの実用的な歯の再生治療を実証したといえる。

 今後、この技術をヒトに応用し実用化するためには、歯胚再生を可能とする細胞シーズを取得することが最大の課題となるという。さらに成人や高齢者に適応するには、歯胚を誘導可能な幹細胞の探索が必要である。研究グループはこれらの課題に取り組み臨床実用化を目指す。

発表論文情報:【Scientific Reports】Practical whole-tooth restoration utilizing autologous bioengineered tooth germ transplantation in a postnatal canine model.(英文)

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大学ジャーナルオンライン編集部

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