日本の科学研究者が2015年に国際的に影響力の強い科学雑誌に掲載した論文数が、2005年に比べて約600件減っていることが、国際的情報サービス企業クラリベイト・アナリティクス(米国フィラデルフィア)のまとめで分かった。論文掲載数全体に占める日本のシェアも8.4%から5.2%に低下している。

 クラリベイト・アナリティクスによると、日本の論文数は11の分野で2005年より少なくなり、歴史的に強い分野とされる素材科学とエンジニアリングでは、10%以上の減少が見られた。分子生物学やコンピューターサイエンスでも著しい減少となっている。特に免疫学は論文掲載数が3分の1も減った。

 クラリベイト・アナリティクスは、中国と韓国の論文掲載数が急増していることを理由に、日本の論文数のシェアが米国や英国、ドイツと同様に今後も低下するとみている。

 その一方で、引用数トップ10%以内にランクされる優秀な論文はこの10年間、日本から安定して生み出されている。特に引用数トップ1%以内の論文は25%増加している。論文掲載数が急減した免疫学でも、トップ1%以内の論文は19%から26%に上がった。

 上級引用アナリストのデビッド・ペンドルべリ氏は「日本の論文減少は著しいが、依然として多くの世界的レベルの科学者を抱え、さまざまな分野で最前線に立って優秀な論文を発表している」と指摘した。

参考:【共同通信PRワイヤー】クラリベイト・アナリティクス/日本の科学生産高(論文数)、10年間の停滞も引用論文のインパクト度は一流で依然強力

大学ジャーナルオンライン編集部

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