神戸大学の兵頭龍樹さん(大学院生)と大槻圭史教授は土星のF環とその羊飼衛星が土星の衛星形成過程で自然な副産物として形成されることを明らかにしました。土星といえば複数の環や衛星を持つことで知られています。環は12本が観測されており、主要なものは内側からD環、C環、B環、A環と名付けられています。F環はA環の外側に存在し、幅が狭いことや数時間単位でその特徴が変化していくこと、環の内外に2つの羊飼衛星プロメテウスとパンドラを持つなどの奇妙な点があります。羊飼衛星がF環の形成に関係していると予測されていましたが、その詳細まではよく分かっていませんでした。

土星の主要リング(NASA/PIA06077) 出典元より引用

土星の主要リング(NASA/PIA06077)
出典元より引用

 最新の衛星形成の理論では、土星衛星の形成過程最終段階で主要な環の外縁付近に密度の高い核を持つ小衛星が複数形成されると考えられています。兵頭さんと大槻教授はこうした小衛星同士が衝突する過程をコンピュータシミュレーションによって調べました。その結果、衝突を生き延びた二つの衛星が現在の羊飼衛星となったこと、それらの軌道に挟まれた領域で散らばった破片がF環になることが分かりました。さらに、こうした過程は土星で偶然起こった結果ではなく同様の条件が揃えば自然に起こり得ることだとしています。例えば天王星のε(イプシロン)環でも同様の経過で生じたと考えられます。また月の最も有力な起源として環から衛星が形成されたと考えられていることから、こうした衛星の形成過程の解明にもつながるかもしれません。

 土星の環はガリレオ・ガリレイが1610年に自作の望遠鏡で初めて観測したことが知られていますが、その探究は400年以上たつ今でも続けられています。1970年代以降に探査機を近くまで飛ばすことができるようになったおかげで初めて分かったことが山ほどありますが、今後も技術の進歩がまた多くの謎を明らかにしてくれることでしょう。

出典:【神戸大学】土星のFリングと羊飼衛星の起源を解明

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大学ジャーナルオンライン編集部

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