神戸大学工学研究科電気電子工学専攻の喜多隆教授と朝日重雄特命助教らの研究グループは4月7日、波長の長い太陽光のスペクトル成分を吸収して変換効率を50%以上にまで引き上げることができる技術を開発したと発表した。

 従来の単接合太陽電池の変換効率の理論限界は30%程度であり、入射する太陽光エネルギーの大半が太陽電池セルに吸収されずに浸透するか、光子の余剰エネルギーが熱になるなどして利用されていない。太陽電池の変換効率が50%を超えると発電コストは大幅に下がり、2030年にわが国が目標とする発電コスト7円/kWhが実現できる。

 今回、研究グループは異なるバンドキャップの半導体からなるヘテロ界面を利用した太陽電池を浸透するエネルギーの2つの光子を用い光電流を生成する新しい太陽電池セル構造を開発した。これは、変換効率が最大で63%となる理論予測結果を示すとともに、この太陽電池セルのユニークなメカニズムである2光子によるアップコンバージョン(エネルギー昇圧)の実験実証に成功した。実証された損失抑制効果は、これまでの中間バンドを利用した方法に比べて100倍以上にも達した。

 今後、最適な材料を利用した太陽電池セル構造の設計を進め、変換効率に係る性能評価を進めることで発電コストを引き下げることができる新しい超高効率太陽電池としての応用が期待できる。

論文情報:【Nature Communications】Two-step photon up-conversion solar cells(英文)

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