地方選挙の街頭演説が候補者の好感度を増し、選挙カーによる候補者名の連呼が得票に影響を与えることが、関西学院大学の三浦麻子文学部教授、稲増一憲社会学部准教授ら研究グループの調査で明らかになった。研究成果は日本社会心理学会の機関誌「社会心理学研究」電子版に掲載された。

 関西学院大学によると、三浦教授らは2015年1月にあった兵庫県赤穂市長選挙で立候補者3人のうち1人の選挙運動の移動経路と内容を分単位で記録するとともに、随行者がスマートフォンの全地球測位システム(GPS)アプリで候補者の現在位置を10秒単位で記録した。

 投票日直後には選挙人名簿から二段階無作為抽出した有権者2,000人へアンケート用紙を送付、908人から回答を得た。調査項目は投票した候補者名、各候補者への好感度、政治に対する意識などで、両方のデータを分析して実際の選挙運動が有権者の行動にどんな影響を与えたのかを調べた。
その結果、有権者の自宅近くを選挙カーが走っても候補者の好感度を上げることはなかったが、街頭演説などで候補者と接する機会が多いほどその候補者に対する好感度が上昇していた。投票行動には選挙カーが近くを走ることや候補者と接する機会が増えることの双方が影響を与え、近所の住民同心の情報交換も一定の影響力を持つことが分かった。

 研究グループは地方選挙の際の有権者の政治行動に選挙運動との接触や対人コミュニケーションが重要な意味を持つことがあらためて示されたとしている。

論文情報:【社会心理学研究】地方選挙における有権者の政治行動に関連する近接性の効果:空間統計を活用した兵庫県赤穂市長選挙の事例研究

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大学ジャーナルオンライン編集部

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