若者の東京一極集中是正策を検討してきた政府の有識者会議(座長・坂根正弘コマツ相談役)は、東京23区内にある大学の定員抑制などを求める中間報告案を大筋で了承した。政府は6月の骨太の方針に具体策を盛り込み、法規制したい考え。有識者会議は今後、導入時期などを詰め、12月に最終報告をまとめるが、都内の大学がここ数年、大幅な定員増を続けたこともあり、効果に疑問の声が上がりそうだ。

 政府のまち・ひと・しごと創生本部によると、提言は東京への人口一極集中を防ぐためには、東京23区内にある大学の定員増を認めるべきでないとし、新たな学部を増設する場合、既存の学部を廃止するなどして、定員を増やさないよう求めるとしている。
地方へU、Iターンする若者への支援策も盛り込んだ。地方で就職した場合の奨学金の返済免除のほか、特定の地域で働き続けられる「限定社員」制度の導入、大企業本社機能の一部地方移転などを提唱している。

 首都圏1都3県への転入超過は21年連続。2016年は約11万8千人の転入超過者の8割以上を15~24歳の若年層が占めた。大半が大学入学や就職時点で首都圏へ流入したとみられる。

 都内の大学に通う学生は74万人以上で、全国の4分の1を超す。都内の大学定員は都内の進学者総数の約2倍に及んでいる。このため、有識者会議は大学の定員増を抑制することで東京への人口集中に歯止めをかけようと考えた。

 しかし、23区内にキャンパスを移す大学の都心回帰が続いているほか、多くの大学がここ数年、定員増を進めてきた。地方の大学や教育関係者の間では「対応が遅すぎる」との見方があり、東京の受験生が地方の大学を目指すとは思えないとの声が多く聞かれる。

参考:【まち・ひと・しごと創生本部】第6回地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議議事次第

大学ジャーナルオンライン編集部

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