近年、周産期医療の発達もあってか、世界的に早産児が増加している。そのうち、妊娠週数28週未満で生まれる超早産児は、2割から半数近くに認知機能障害が生じる。原因として、超早産児が経験する脳虚血などが想定されていたが、それが脳にどのような影響を与えるのかは、よくわかっていなかった。

 慶應義塾大学の研究チームは今回、超早産児が生まれる時、脳内で神経細胞がまだ移動中であり、それが虚血によって障害されることが、その後の認知機能障害に関与することを明らかにした。

 脳のネットワークが作られる時には、脳内の神経細胞が適切な位置に移動することが重要である。これまで、超早産児の脳は未熟であるとはいえ、主な神経細胞の配置はほぼ完了していると考えられてきた。しかし、今回の研究はそれを覆し、神経細胞はまだ移動を続けていることを発見した。また、マウスを使った実験で、この時期に虚血が生じると神経細胞の移動が障害され、神経細胞が移動経路の途中に留まったままになることがわかった。こうしたマウスには、ヒトと同様、成育したのちに認知機能障害が見られたという。

 研究チームはさらに、虚血が起きるときのマウスの体温を低く保つことで障害の発生が予防できることや、生後に前頭葉の神経活動を上げることで認知機能障害が改善することも明らかにしている。今後、ヒトへの応用や新たな予防・治療法の開発が期待される。

論文情報:【JCI Insight】Association of impaired neuronal migration with cognitive deficits in extremely preterm infants

この記事が気に入ったらおねがいします。

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。