「農業者は長寿で元気」という印象は、国際的にも述べられることが多い。この点について具体的な実証に踏み込んだ早稲田大学重点領域研究機構の持続型食・農・バイオ研究所は、2016年4月、後期高齢者医療保険制度の医療費データをもとに、農業に従事する後期高齢者の医療費が他の後期高齢者に比べ3割程度少ないという調査結果を発表した。このような明確な差異が確認された意義は大きく、今回、より正確に農業者と非農業者との差異を明らかにするための研究が行われた。

 新たな研究手法として、平成元年以降に亡くなった家族の死亡時の年齢、亡くなる前の仕事種類、仕事をやめた時の年齢などを調査項目としたアンケートを実施。集計の結果、自営農業者は寿命の長さが際立っており、仕事の従事期間が長いこと、引退後の余命が農業者以外の人と比べ短いことなどが明らかになった。

 この結果から、自営農業者の平均寿命が長いことは、長期に農業に従事していたことが貢献していると考えられる。また、自営農業から引退する年齢までを健康寿命とすれば、死亡年齢と健康寿命の差である余命が短い、いわゆるピンピンコロリの特徴が示されているといえる。

 今後は、農業者の実際の仕事や活動のどの部分が長寿に結び付き、どのような生活スタイルが健康維持につながるのかを明らかにするため、医療関係者やスポーツ科学の研究者とともに、農業者からの聞き取り調査や生活の観察等を実施し、研究を発展させていくという。

この記事が気に入ったらおねがいします。

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。