大阪大学太陽エネルギー化学研究センターの金田清臣招聘教授と同大学院基礎工学研究科の満留敬人准教授らは、世界で初めて温和な条件下で、アミドの還元反応を進行させる触媒の開発に成功した。

 アミドを還元して得られるアミンは、医薬品・農薬・電子材料など様々な用途で必要不可欠な化合物であるが、アミドが難還元性の性質を示すため、強力な還元剤を用いて高圧水素ガスと高温の激しい反応条件の下、アミンを生成する必要があった。従って、温和な条件下でのアミド還元反応は、次世代の省エネルギーかつ安全な製造プロセスにおける夢の反応の一つに挙げられていた。

 今回、同グループは、バナジウムと白金を複合化しナノ粒子化した触媒を開発し、世界で初めて30気圧以下、70℃以下でアミドの還元反応を進行させることに成功した(常温常圧でのアミドの還元反応の進行にも成功)。本反応後の副生成物は「水」のみであるため、無害・安全かつ省エネルギーで反応を行うことができる。さらに、開発した触媒は、反応液からの濾過により簡単に分離ができ、繰り返し使用することが可能だという。

 本研究成果により、省エネルギーかつ安全で、有害な廃棄物を副生せずに、ほしいものだけを作り出す、環境に優しい触媒プロセス開発が期待される。

論文情報:【Angewandte Chemie International Edition】Mild Hydrogenation of Amides to Amines over Platinum-Vanadium Bimetallic Catalyst

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