太陽フレアや太陽嵐といった「宇宙天気」や太陽活動の検討では、近代的観測データの不足が問題となる。望遠鏡による黒点観測の開始は17世紀初頭であり、最長でも400年程度しか遡ることができない。そこで、京都大学の研究グループは、中国の正史に記録されているオーロラと太陽黒点の記録を調査した。

 中国の天文記録は、当時の「天文観測官」が長く記録を担っていたために記録の基準がある程度一定であることや、観測地点の位置情報がはっきりしていることなどから、過去の天文記録調査に最適な資料と言える。研究グループは今回、『元史』と『明史』からオーロラや黒点を意味するキーワードが含まれる記述を抜き出し、ロシアの年代記やヨーロッパでの望遠鏡による観測記録との照合、自然科学の観点から予測される当時の太陽活動の状況との比較などを通して、13世紀から17世紀にかけての太陽活動を検討した。『元史』からはオーロラと考えられる記述を20件、『明史』からは10のオーロラと26の黒点と考えられる記述を発見し、この結果は年輪から復元される太陽活動の長期的傾向とも一致することが確認できた。

 本研究グループはこれまでに隋・唐・五代十国、宋、清の正史を対象とした調査を行っており、今回の研究によって隋から清までの1400年近い長期の観測データが得られたことになる。今後は同時代他地域の記録に関する調査も進め、過去の太陽活動にさらに迫っていくという。

論文情報:【Publications of the Astronomical Society of Japan】Records of Sunspots and Aurora Candidates in the Chinese Official Histories of the Yuán and Míng Dynasties during 1261-1644

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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