広島大学の齋藤健一教授らの研究グループは高輝度光科学研究センターと共同で、導電性高分子の配向膜を簡単に作製する世界初の手法を開発した。この手法はきわめて簡単で、熱に弱い物質による配向膜作製に適しており、環境にやさしくコスト削減にもつながるものだ。今回の成果は国際科学誌Natureの姉妹誌である「Scientific Reports」に公開された。

 導電性高分子など電気を流す有機物は、タブレット、スマートフォンなどの有機ELや次世代のスマートデバイス(体に貼れるセンサーや端末など)にとって重要な基幹材料だ。これらデバイスの性能向上には導電性高分子の配向(一定方向へ並べること)がきわめて重要であり、センサーの応答速度、画面の明るさ、省電力化に数100倍の性能向上として寄与する。

 今回研究グループは、基板(ガラス板など)を綿の布でプラッシング後、電気を流すプラスチック分子(導電性高分子)の溶液を滴下・乾燥するだけで、導電性高分子が並んだ配向膜(厚さ30ナノメートル)を得るというきわめて簡単な手法を開発した。

 この手法は従来の高温・真空環境ではなく常温・空気中で行うため、材料として高温で分解しやすい有機物が使用できるだけでなく、設備面でもコスト削減につながり、高効率の量産も期待できる。また、水につけると配向膜は基板から簡単にはがれるため、好きな場所に移して利用できる。さらに、配向膜に電気を流すとEL発光して偏光を示した。

 今回の実験では、有機太陽電池と有機ELでよく用いられる導電性高分子(P3HTとMEH-PPV)に加え、複数の分子や基盤でも配向膜が得られた。今後は、さらに多くの導電性高分子や基板で、配向膜の作製と構造解析の研究を発展させる予定という。

論文情報:【Scientific Reports】Uniaxial orientation of P3HT film prepared by soft friction transfer method

広島大学

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