九州大学マス・フォア・インダストリ研究所富士通ソーシャル数理共同研究部門、株式会社富士通研究所、富士通株式会社は、人手によって数日かけて実施されてきた複雑な保育所入所選考において、わずか数秒で自動的に最適な入所割り当てを算出するAI技術を開発した。

 保育所入所の選考業務では、自治体ごとに決めている申請者の優先順位や、きょうだいの同一保育所入所希望などの複雑な条件をもとに最適な割り当てを行うため、人手による試行錯誤により、全申請者の希望を調整している。しかし、すべての申請者が希望通りに入所できるようにすることは困難となっている。

 今回開発した技術では、「きょうだいが同じ保育所になることを優先してほしい」「別々の保育所でも良いが、きょうだいの片方しか入れないのなら辞退する」といった複雑な希望条件の依存関係を、ゲーム理論と呼ばれる、利害が一致しない人々の関係を合理的に解決する数理手法によりモデル化することで、優先順位に沿って全員が可能な限り高い希望をかなえられる割り当て方を見つけることが可能となった。

 この技術を用いて、さいたま市の申請者約8,000人の匿名化データで検証を行ったところ、さいたま市の独自ルールによる複雑かつきめ細かい割り当てについて、これまで20名から30名の職員が非常に多くの日数をかけていたところを、わずか数秒で最適な割り当てを算出できた。この技術が実用化した場合、自治体職員の選考業務負荷が大幅に改善されるだけではなく、入所申請者への決定通知を早期に発信することが可能となり、住民サービスの向上も期待できるうえ、よりきめ細かいルールで運用できるようになり、入所申請者の満足度向上が期待できる。

 富士通ではこの技術を、自治体向け保育業務支援システム「MICJET MISALIO(ミックジェット ミサリオ)子ども・子育て支援」のオプションサービスとして、2017年度中に提供すると共に、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」の1つとして様々なマッチング問題への適用を目指す。

九州大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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