金沢大学医薬保健研究域医学系の河﨑洋志教授、新明洋平准教授らの研究グループは、これまで解析が困難だった脳のシワが出来る仕組みの一端を、最新のゲノム編集技術を用いて世界に先駆けて明らかにした。本研究成果は、米国科学紙「Cell Reports」のオンライン版に2017年8月30日付けで掲載された。

 ヒトの脳の表面に存在するシワ(脳回)は、脳の高機能化に極めて重要だと考えられているが、これまで脳回の出来る仕組みは謎に包まれていた。その理由の一つとして、医学研究に多用されているマウスの脳には脳回がないため、脳回の研究が困難であったことが挙げられる。

 そこで、同研究グループは、マウスではなく、ヒトに近い発達した脳を持つ高等哺乳動物フェレットを用いて独自の研究技術を開発してきた。今回、同グループは、ゲノムの狙った部位を選択的に破壊する最新のゲノム編集技術を用いて、大脳皮質の表面近くに存在する神経細胞が脳回を作るために重要であること、また、Cdk5という遺伝子が働くことが重要であることを明らかにした。

 ヒトには脳回に異常が見られる疾患があるが、その発症の仕組みはほとんど分かっていない。本成果は、ヒト疾患の病態解明の突破口になると期待される。

論文情報:【Cell Reports】Folding of the Cerebral Cortex Requires Cdk5 in Upper-Layer Neurons in Gyrencephalic Mammals

金沢大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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