愛知県豊明市の藤田保健衛生大学病院は、交通事故による脳の損傷で重い障害を負った患者を治療する専門病床「一貫症例研究型委託病床」に、国の独立行政法人「自動車事故対策機構」から国内で初めて委託を受けた。事故直後から慢性期までの連続した治療、看護、リハビリについて臨床研究する病床で、2018年1月から患者を受け入れる予定。

 藤田保健衛生大学病院によると、設置される病床は5床。従来の専門病床は複数の病院で治療を受け、病状が安定した患者を受け入れているが、一貫症例研究型委託病床では事故直後に藤田保健衛生大学病院の救命救急センターで急性期治療した患者を受け入れ、同じ医師らによってリハビリなどを進める。

 交通事故による脳の損傷は専門病床に入るまでの期間が短いほど改善する傾向があるとされるが、従来の専門病床だと、事故から入院までに1年ほどかかっていた。自動車事故対策機構は治療効果が確認されれば、委託先を広げる方針。

 救急医療の進歩もあり、交通事故による死者は減少傾向にあるが、重度の後遺障害に陥る患者は毎年、全国で1,800人ほど出ている。国内に事故直後から慢性期まで一貫して治療できる施設がないため、患者は救急病院から一般病院へ3カ月をめどに転々としている。事故直後の治療も治癒目的というより、生命維持に力が置かれている。

大学ジャーナルオンライン編集部

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