立教大学と天理大学の調査団がイスラエル北部のテル・レヘシュ遺跡で発見された紀元1世紀のユダヤ教会堂(シナゴーク)跡の全容を解明した。初期のシナゴーク発見は8例目で、調査団は初期シナゴークの形式を知る重要な手掛かりになるとみている。

 調査団によると、シナゴークはユダヤ教の安息日に集会が開かれていた場所。調査団は遺跡発掘に加え、ドローンによる撮影で得た情報を基に遺跡の3Dモデルを作成した。建物跡は南北8.5メートル、東西9.3メートル。初期シナゴークの特徴とされる壁沿いに並ぶ切石でできたベンチも発見された。集会では当時の人々がこのベンチに座り、ユダヤ教の律法について議論していたとされる。

 シナゴークは古代ローマ軍が西暦70年にエルサレム神殿を破壊してから、宗教的な意味合いが強まり、入り口をエルサレムの方向に向けて作られるようになった。ところが、今回発見されたシナゴークの入り口はエルサレムと反対方向。ローマ軍による神殿破壊前に建設されたとみられる。

 調査団は団長の桑原久男天理大学文学部教授、副団長の長谷川修一立教大学文学部准教授らで構成され、2006年から旧約聖書に書かれた伝説の都市「アナハラト」の有力地として遺跡調査を進めていた。

 立教大学の長谷川准教授は「イエス・キリストが活動していたナザレに近い場所で、イエスが立ち寄った可能性もある」とコメントしている。

大学ジャーナルオンライン編集部

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