国立大学協会の山本健慈専務理事は、経団連教育問題委員会企画部会に出席し、国立大学の将来像や産業界に期待する点について説明した。説明後は博士課程人材の登用、クロスアポイントメント制度(※1)の活用などに関し、経団連と意見交換した。

 国立大学協会によると、山本専務は国立大学に求められる役割として、高度な知識を持ち、国際社会を牽引できる人材の育成を重要としたうえで、国内では一億総活躍社会を引っ張り、地方創生を実現する人材の育成が必要とした。

 国立大学の将来像としては、高等教育のグローバル化が欠かせないとし、優れた留学生を引きつけ、自国の成長につなげる一方、国際連携による学術研究の推進が必要と主張した。しかし、大学教育に対する公的支出の伸びが他の先進国に比べて低いことから、高等教育や科学技術に対し、より一層の公的支出が欠かせないと訴えた。

 今後、機能を高めるべき分野としては、高度な教育研究だけでなく、地域の国公私立大学の連携拠点となって地方創生を担うとともに、地域の特色を生かしたイノベーションの創出を挙げた。
産業界への期待では、博士課程人材の積極的な登用、クロスアポイントメント制度の活用による人材交流の活発化、大学での学び直しを是とする職場環境の整備などを要請した。

※1 クロスアポイントメント制度 協定などにより、大学教員が複数の機関で常勤職員の身分を持ち、業務をすること

参考:【国立大学協会】経団連教育問題委員会企画部会において、高等教育における国立大学の将来像等について説明

大学ジャーナルオンライン編集部

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