世界中の科学研究者の交流を促進し、学術全体の発展を目指す「The Science Bridgeイニシアチブ」(事務局スペイン)が発足し、賛同者122人による声明文が『Neuron』誌に掲載された。
賛同者は、京都大学の林康紀教授、奈良先端科学技術大学院大学の駒井章治准教授、沖縄科学技術大学院大学の福永泉美准教授とベアン・クン准教授ら。イニシアチブ自体の賛同者には野依良治科学技術振興機構CRDSセンター長ら29人のノーベル賞受賞者を含め、計200人以上の科学者が名を連ねる。

 現在、戦争などの国際関係や経済的問題から、共同研究や研究者交流の盛んな地域は限られている。「The Science Bridgeイニシアチブ」は分野、地域を問わずあらゆる研究者の交流促進や学術の発展を目的として発足した。アラブと西アジア-西側にまたがる研究者のコラボレーションに取り組み、長期的目標としてアラブ世界と西側諸国双方に独自の研究所「Twin Institutes」を設立する。その過程でアラブ世界出身の学生や若手研究者のトレーニングを行い、母国も交えた頭脳循環を促すという。

 最初に取り組むのは分野横断的な領域である神経科学で、生理学や分子生物学に加え化学・物理学・情報学などに関わる多くの研究者の参加が期待される。また、うつ病やPTSD、アルツハイマー病などの神経に関わる疾患は世界的な課題だが、環境により症状や適切な治療法が異なることもあるため、研究フィールドを広げることで総合的な知見を得ることができる。

 イニシアチブを通して研究フィールドをアラブ世界にも広げることは、疾患や現象の総合的理解に重要とみる。研究の生産性の観点からは、多文化・多地域の研究者による一般の人々とのコミュニケーションも必要となる。将来的にはあらゆる地域、分野を視野にいれた活動を目指すとしている。

京都大学

「自重自敬」の精神に基づき自由な学風を育み、創造的な学問の世界を切り開く。

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