原因不明の難治性疾患である内転型けいれん性発声障害に対する医療機器「チタンブリッジ」が、熊本大学での治験を経て、「先駆け審査指定制度」により希少疾病用医療機器の指定を受け、薬事承認を得た。

 内転型けいれん性発声障害は、喉頭内部の声門閉鎖筋(声帯)が不随意に収縮することで、発声時に声帯が内側に閉じる(内転する)疾患で、発声に障害が生じ社会生活に困難をもたらす。ボツリヌス毒素注射が一般的治療法だが、効果は平均2、3ヶ月で継続注射が必要。一方、国内で開発された「甲状軟骨形成術2型」は、甲状軟骨(喉頭の軟骨)を縦に切開し、声帯と軟骨の付着部を軟骨ごと外側に広げて、チタン製蝶番型プレート「チタンブリッジ」で固定する手術手技で、半永久的な効果が期待できるという。

 この治療法の有効性確認のため、熊本大学耳鼻咽喉科で臨床研究を実施。対象患者21例のうち、評価可能な症例17例に改善を確認。その後、厚生労働省などから補助金を受け、熊本大学医学部附属病院等による多施設共同医師主導治験を実施した。治験では、21例の52週間にわたる観察期間において明確な発声障害の改善が認められ、重篤な有害事象・不具合の発現はなかった。

 チタンブリッジは、医療機器として「先駆け審査指定制度」(世界に先駆けて開発された高い有効性が見込まれる医薬品等を指定し、早期実用化を目指す制度)の審査対象品目第一号に指定され、希少疾病用医療機器の指定を受けた後、企業による薬事申請により薬事承認を得た。

 今回の薬事承認取得を受けて、今後、チタンブリッジを用いた甲状軟骨形成術2型手術が、内転型けいれん性発声障害患者に対する安心・安全な治療法として期待される。

この記事が気に入ったらおねがいします。

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。