北海道大学の小松崎民樹教授らは奈良女子大学、東北大学と共同で化学反応の結果できる物質を切り替えるスイッチの存在を理論的に予測しました。今回は水素原子を使った極めて単純な反応での研究ですが、今後は化学反応一般的の行先をコントロールする方法を開拓することができるのではないかと期待できます。

 原子や分子の化学反応は、ポテンシャルといわれるエネルギーの等高線図上の移動にたとえられます。つまり化学反応は、エネルギー的に安定な麓を出発し、峠を越え別の麓へ移動ということになります。例えば、今回調べた水素原子から電子が離れていく反応では、原子にエネルギーを与えて高エネルギーの状態に持っていくと原子核から電子がどんどん離れていきます。このとき、初めはポテンシャルの坂を昇り、峠を越えることで完全に電子が離れた状態に向かっていきます。この現象を理論的に解析したところ、峠付近に差し掛かった時に様々に分岐した経路が現れることを発見しました。そしてこの経路は周りからかかる磁気の方向に関係していることも分りました。つまり電子が原子核から離れていく方向は、磁気を操ることで自在に制御することができるのです。

 まだ実験での検証はなされていませんが、今後はこの理論の妥当性を検証するための実験を行っていくとしています。今回解析の対象としたのは極めて単純な反応でしたが理論的には普遍的に成り立つものであり、より複雑な化学反応の経路についても分岐の切り替えが可能になると期待できます。医薬品などの大量生産では目的となる物質の他に副産物が生じてしまうことが悩みの種ですが、将来的に化学反応のコントロールが可能になれば目的の物質だけを作ることができるようになるかもしれません。

出典:【北海道大学】化学反応の行き先を変換する“切り替えスイッチ”の存在を解明

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大学ジャーナルオンライン編集部

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