大阪市立大学の研究グループは、無意識下で食品画像を提示するだけで交感神経系が興奮し、さらにこの興奮の程度は、食に対する日頃の我慢の程度と関連することを明らかにした。

 私たちは生活のさまざまな場面で、度々自覚なく行動の意思決定を行っている。例えば食品を目にしたとき、「食べようか、いや、やめようか」と意識して考えているようで、実は無意識のうちに意思決定がなされている。こうした何気ない行動の連続が食習慣を形成するが、本人の意識と関係のないところでどのように脳が判断や意思決定を操っているのか、十分な解明はされていない。

 そこで研究グループは、本人が自覚しないうちに食品の写真が提示されたとき、どのような脳神経活動が生じ、それがどのように日常の食行動と関係するのかを検証した。

 まず、無意識下で食品画像を提示したときの脳神経および自律神経活動を解析したところ、食品画像提示後は、提示前と比べて交感神経が活発に興奮することがわかった。また、個々の日常生活における摂食の自制(我慢)の程度との関係をみたところ、食品画像提示後に交感神経が興奮する人ほど、食べたいときに我慢できない傾向があることがわかった。

 この結果は、食行動に関する判断や意思決定が、無意識のうちに働く脳の習性に左右されている可能性を示唆している。無意識下の認知過程の仕組みを解明することは、偏った食行動などの現代人にみられる生活習慣のゆがみを改善し、肥満や過体重、高齢者の食欲不振などの健康問題を解決する重要な糸口となる。今後は、この脳の無意識下における習性が、実生活の各ライフステージで食と健康にどのように影響するのかを検討していくという。

論文情報:【Scientific Reports】Neural activity induced by visual food stimuli presented out of awareness: a preliminary magnetoencephalography study

大阪市立大学

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