京都大学の古川壽亮教授らの研究グループは、第一、第二世代の抗うつ剤同士で効き目と副作用を直接比較した過去の522の臨床試験結果から、21種の薬剤の特徴を網羅的に比較・評価する研究を行い、その結果を報告した。

 うつ病を生涯に経験する人は、全世界人口のうち3%~16%とも言われ、その患者数は増え続けており、今後もこの傾向は続いていくと考えられている。治療は抗うつ薬による場合が多いが、どの薬が効果的なのか、副作用がどの程度起きやすいのか、これまで開発・実用化されてきた数十種に渡る薬剤を網羅的に直接比較した研究はなかった。

 一方で、数種の抗うつ剤の効果や副作用の頻度を直接比較した臨床研究は世界中でいくつも行われていることから、今回の研究では、これら過去の研究データを統合し、臨床研究では直接比較されていない薬剤同士の比較を試みた。

 収集した研究結果は、出版されていないものも含め、2016年1月8日までに報告された522件、延べ116,477人の試験結果に及ぶ。解析の結果、今回対象とした21種の薬剤は、効果の現れやすさや副作用で投薬を中止する割合に幅があり、アミトリプチリンやエスシタロプラムなど8種の抗うつ剤は特に効果が強いこと、エスシタロプラムを含む6種の薬剤は比較的副作用が起こりづらいことなどが明らかとなった。

 今回の結果は、医師の個人的な経験や印象だけではなく根拠に基づいた投薬治療を進めていく上で、重要な参照情報になると考えられる。研究グループは、本研究で取り扱った第一、第二世代の抗うつ剤だけでなく、今後開発される薬剤についても、引き続き同様のエビデンスを積み重ねていく必要があるとしている。

論文情報:【The Lancet】Comparative efficacy and acceptability of 21 antidepressant drugs for the acute treatment of adults with major depressive disorder: a systematic review and network meta-analysis

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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