東京慈恵会医科大学の横尾隆教授は慶應義塾大学、明治大学、北里大学と共同で移植した再生腎臓からの排尿に成功しました。今後、継続して再生腎臓を発育させることが可能になれば腎臓再生医療の臨床応用が大きく前進することになります。

 腎不全によって腎移植や透析療法を必要とする患者は増加傾向にあります。2013年現在、日本だけで31万人以上の患者が透析療法を受け、毎年3万8000人の患者が新たに透析治療を導入しています。その費用は一人当たり500万円、総額で1兆円以上にものぼり国の医療費増加の大きな要因となっています。一方で腎移植はドナー不足のため、年間1600例ほどというのが実情です。このような状況に対応するために腎臓再生の実現が求められています。過去の研究ではラットの体内でヒト由来の幹細胞から作製した膀胱付き腎臓を再生させることには成功していました。実際に尿をつくるところまではできたものの尿を排泄する経路が無かったため、水腎症という状態に陥り発育が継続できないという問題がありました。

 そこで横尾教授らは排尿路を構築することができれば継続的な発育が可能になると考えました。まずラットに移植した成長前の膀胱付き腎臓を発育させます。そして外科的な方法で膀胱にもともとラットが持っていた尿管をつなぐことで、正常に尿を排泄することが確認できました。また、クローンブタにおいても同じ方法が適用できることを示しました。

 今後はより人に近い霊長類のマーモセットで再生腎臓に尿排泄路を構築すること目指します。また、新規腎臓の尿管・膀胱すべてをヒト由来細胞から作ることには成功していないため、移植後の拒絶反応の抑制方法の開発にも取り組んでいくとしています。将来的に研究が進めば腎不全の患者が健康な暮らしを取り戻すことができるようになるでしょう。

出典:【慶應義塾大学】再生腎臓からの尿排泄に成功-臨床応用に向けた大きな一歩-

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大学ジャーナルオンライン編集部

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