岐阜大学の湊口信也教授の研究グループと東北大学の出澤真理教授の研究グループは共同で、ウサギの急性心筋梗塞モデルに「Muse細胞」を静脈内投与すると、心筋梗塞サイズの縮小と心機能が回復し、さらに自己細胞でない場合(他家細胞)でも半年以上の長期間にわたり効果が持続することを明らかにした。

 急性心筋梗塞は心臓組織を栄養している血管が閉塞して心臓組織が死んでしまう病気。一方、Muse(ミューズ)細胞は生体内多能性幹細胞であり骨髄から血液に少しずつ動員され、個人差はあるものの一定の割合で血液中を巡り、各臓器に供給される。供給先の組織で細胞死が起きると、組織に応じた分化を行って機能的細胞を補い修復する。東北大学の研究グループが2010年に発見した。

 今回、ウサギ急性心筋梗塞モデルに自己と他家の骨髄由来Muse細胞、およびヒト骨髄由来Muse細胞を静脈投与した。その結果、Muse細胞は傷害部位を特異的に認識することができること、そして組織に応じた細胞に自発的に分化をし、機能的な細胞となって組織の一員となって組み込まれ、修復をすることが分かった(ヒトMuse細胞でも同様の効果)。また、他家細胞であっても免疫拒絶を免れて自己Muse細胞とほぼ同等の治療効果を半年以上の長期間もたらした。

 今回の研究により、他家Muse製剤を点滴で静脈投与すれば心筋梗塞の修復再生治療が可能であることが分かった。これは、医療施設に他家Muse製剤を準備しておけば、点滴で投与可能なため、緊急の場合でも十分に活用できることを意味し、安全で自然の理にかなった治療が期待される。現在、(株)生命科学インスティテュートが他家Muse細胞製剤を用いて心筋梗塞患者への治験を開始している。

論文情報:【Circulation Research】S1P-S1PR2 Axis Mediates Homing of Muse Cells into Damaged Heart for Long Lasting Tissue Repair and Functional Recovery After Acute Myocardial Infarction

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