名古屋大学博物館と北海道大学総合博物館の研究グループは、カナダ・カルガリー大学およびロイヤル・ティレル古生物博物館との共同研究から、恐竜類の卵を温める方法を推定することに成功した。

 恐竜の卵や巣の化石は北極圏を含む世界中から発見されており、恐竜は様々な環境で巣作りしていたことがわかっている。しかし、卵を温める熱源や巣の構造は化石として残りにくく、実際にどうやって卵を温めていたかはよくわかっていない。特に、冷涼な環境での営巣方法は謎となっていた。

 そこで本研究ではまず、恐竜の生態を推定する参考になるワニ類と鳥類について調査。卵を温める方法と巣の素材に密接な関連があることを示した。例えば、巣材に土壌・植物を用いる種は主に植物の発酵熱を利用して卵を温める一方、砂を用いる種は太陽光熱や地熱を利用して卵を温めるという。

 恐竜の巣化石でも同じように類推できるため、研究グループは世界中の巣化石標本の堆積物を調査。結果、ある種の巣は主に砂岩から見つかるため、砂中に産卵し太陽光熱や地熱や利用して卵を温めていたと推定できた。一方、別の種の巣は土壌質の泥岩から見つかり、土壌中に産卵し植物の発酵熱を利用して卵を温めていた可能性が示された。また、これまでの研究で抱卵が示唆されている恐竜の巣化石は、砂岩と泥岩から同等の割合で見つかり、様々な地面で営巣していたと考えられた。

 植物の発酵熱や抱卵熱は比較的冷涼な環境でも利用できることから、恐竜たちが北極圏でも営巣できた背景が浮かび上がってきた。また、一部の営巣方法は温暖地域にしか適さないため、営巣方法の違いは恐竜たちの地理的分布にも影響を与えていた可能性がある。

論文情報:【Scientific Reports】Nest substrate reflects incubation style in extant archosaurs with implications for dinosaur nesting

名古屋大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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