東京農工大学、慶應義塾大学、九州大学の共同研究グループは、生物の細胞に類似した小さな鋳型でゼリーを作ると、通常のゼリーよりも約10倍硬くなることを発見した。またこの硬さの変化は、鋳型を覆う脂質膜によりゼリーを構成するタンパク質の構造が大きく変化するためであることを明らかにした。

 ゼラチンからなるミクロなゼリー(以下、ミクロゲル)は、食品や化粧品、医薬品など、日用品に幅広く用いられている。しかし、それらの触感や質感、強度などの機能を強く支配する力学的性質は、その小ささゆえに測定が困難で、詳細な解析が渇望されていたという。

 本研究では、細胞のような鋳型を用いて100分の1ミリメートルスケールのミクロゲルを作製し、非常に細いマイクロキャピラリーを用いてそれを引っ張ることにより、ミクロゲルの硬さの測定に成功した。そして、ゼラチンがゲル化する際に、脂質膜で覆われたマイクロメートルサイズの空間に閉じ込められていることで、ゲル化後の硬さが通常の大きなゲルに比べて10倍程度上昇することを見出した。

 このミクロゲルの分子構造を調べたところ、通常のゼラチンが作る三重らせん構造だけでなく、βシート構造と呼ばれるユニットが連なった構造も同時に作っていることがわかり、この構造変化によってゲルが硬くなっていることが明らかとなった。

 この発見で得られた知見は、ゲルの硬さを利用した機能性材料の設計に新しい視点を与え、今後、食品・医薬品・化粧品として活用されるミクロゲル材料の創成へ応用されることが期待される。また、ミクロゲルは細胞を支える骨格としても機能しており、本成果は細胞内の生体高分子ゲルの特性解明にも貢献が期待される。

論文情報:【ACS Central Science】Increasing elasticity through changes in the secondary structure of gelatin by gelation in a microsized lipid space

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「基幹教育」と「専攻教育」から成立する学部教育。生涯にわたって学び続けることを幹に持ち、行動力を備えたアクティブ・ラーナーへと育つ力を培います。深い専門性や豊かな教養へとつながる知識・技能と、新たな知や技能を創出し未知な問題を解決するもとである「ものの見方・考[…]

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東京農工大学は1949(昭和24)年に東京農林専門学校と東京繊維専門学校が統合して設立されました。しかし、その起源は明治7年(1874年)に設立された内務省農事修学場と蚕業試験掛にまでさかのぼります。現在では農学部と工学部からなる唯一の国立大学としてこれらの知[…]

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大学ジャーナルオンライン編集部

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