東北大学大学院工学研究科の菊地謙次准教授らの国際共同研究グループは、蚊が餌を飲み込む際に、連続モード(ゴクゴク)とバーストモード(ゴックン)の2つのポンプを巧みに使い分けていることを世界で初めて発見した。

 これまで、液体の餌を飲み込む際に2つのポンプを使う生物の存在は知られていたが、ポンプがなぜ2つあるのか、その必要性については不明であった。

 同研究グループは、シンクロトロン放射光を利用してX線位相コントラスト顕微鏡を構築し、蚊の頭部を透視することで、頭部の大小2つのポンプ運動を可視化することに成功した。さらに、実験と理論解析により、蚊は吸血のように連続的に吸引する時と、針内につまりがある時や粘り気の強い花蜜を力強く飲み込む時ではポンプの使い方が異なること、つまり、2つのポンプを巧みに使いながら吸い込み圧力を制御していることを明らかにした。

 本研究は、連結した微小のポンプによる巧みな吸引方法を明らかにしたもので、将来的にはマイクロスケールの流体駆動デバイスの設計などに役立つと期待される。この成果は、英国科学誌Scientific Reportsに2018年3月20日付(英国時間10時)で掲載された。

論文情報:【Scientific Reports】Burst mode pumping: A new mechanism of drinking in mosquitoes

大学ジャーナルオンライン編集部

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