東北大学を含む研究グループは、全く新しい発想による磁気光学材料の開発に世界で初めて成功した。開発した材料は、ナノグラニュラー構造と呼ばれるナノメートルサイズの磁性金属粒子をセラミックス中に分散させたナノ組織を有し、光通信に用いられる波長の光に対して、従来の約40倍もの巨大なファラデー効果を示すという。

 ファラデー効果とは、磁性体に加えた磁界に平行な方向に入射する光において、磁性体を透過する光の偏光面が回転する現象のこと。ファラデー効果を示す材料は、光デバイスや、とりわけ光通信システムに広く用いられ、先端情報技術には欠かせない。
しかしながら、ファラデー効果材料は1972年にビスマス鉄ガーネットが発見されて以来、それを超える有望材料は見つかっておらず、これまでのファラデー効果を用いたデバイスでは、設計および性能が限定されていた。

 今回開発されたのは、粒径が数ナノメートルの鉄‐コバルト合金微粒子(グラニュール)が、フッ化物セラミックスから成る物質(マトリックス)中に分散した構造を有するナノグラニュラー材料。この構造により、グラニュールとマトリックスの界面において鉄やコバルト原子の磁気モーメントが増大し、大きなファラデー効果が得られる。

 本研究によって、世界的に求められつつも45年間実現しなかった新しいファラデー効果材料が開発された。さらにその大きさは、従来の約40倍にも及び、加えて薄膜材料であることから、光デバイス設計の自由度が大幅に拡大することになる。本研究成果を発展させることにより、光デバイスの小型化・集積化が可能となり、電子デバイスに代わるいわば“光子デバイス”が実現可能となるとしている。

論文情報:【Scientific Reports】Giant Faraday Rotation in Metal-Fluoride Nanogranular Films

東北大学

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