東京大学の杉山正和教授、宮崎大学の西岡賢祐教授らの研究グループは太陽電池を用いて世界最高の効率で水素を製造することに成功しました。水素社会の実現に向けてまた新たな進歩です。

 水素は二酸化炭素を排出しないクリーンな燃料として、今後の需要増大が見込まれています。しかし現状は石油や天然ガスなどの化石燃料から製造されています。完全にクリーンな燃料としての水素利用を勧めるには太陽光を用いて効率よく、低コストで水素を製造する技術が不可欠です。これまでの盛んに研究されていた、太陽光を吸収して化学的に水を分解する作用を持つ光触媒を用いる方法ではエネルギー変換効率は10%にも満たないの状態でした。一方で太陽電池を用いて電気分解する方法ではエネルギー損失を低減させることが可能であり、2000年にイスラエルのグループが18.3%の変換効率を達成していました。これを受けて杉山教授らは、レンズで太陽光を集めて発電効率を高めた太陽電池を用いることを試みました。その結果24%以上のエネルギー変換効率で水素を製造することに成功したのです。この方法で必要な装置はすでに市販されているため、現在の技術で十分にシステムを構築することが可能です。また、触媒は繰り返しの使用で劣化していくのに比べて、太陽電池は長く使えるという利点もあります。

 さらに、今後レンズによる集光型の太陽電池の性能向上も見込まれており、最終的な水素の製造効率は28%程度に達することが予想されています。生活レベルでの実感はまだわかないかもしれませんが、今年は水素元年といわれる年にふさわしく水素関連の研究成果が盛んに報告されています。

東京大学
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東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

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大学ジャーナルオンライン編集部

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