東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター幹細胞治療分野、スタンフォード大学医学部幹細胞生物学・再生医療研究所の中内啓光教授と、スタンフォード大学の山本玲氏らのグループは、造血幹細胞の加齢による変化を明らかにした。造血幹細胞は加齢とともにリンパ球系への分化能力を失っていくが、自己複製能は比較的維持され、長期の観察においては、その変化が可逆的であることも明らかになった。

 骨髄中にある造血幹細胞は、一生涯にわたり体内のすべての血液細胞(赤血球、血小板など)を供給する。これまで、加齢とともに造血幹細胞がどのように変化するかは明らかにされていなかった。

 共同研究チームは、若齢マウスと加齢マウスの骨髄から造血幹細胞画分を採取し単一細胞移植を行うことにより、生体内での単一細胞レベルでの能力を比較した。その結果、加齢により造血幹細胞画分には、リンパ球への分化能力を失っているが自己複製能は維持した細胞の割合と数が増加することが分かった。さらに、その骨髄細胞を2次移植し長期観察を行うと、リンパ球への分化能力が再び認められたという。このような性質を持つ造血幹細胞は若齢マウス骨髄内には観察されず、加齢マウスに特異的だった。

 本研究により、加齢造血幹細胞が特異的な性質を示すこと、また、これまで不可逆であると考えられていた幹細胞老化が、リンパ球産生能力という点においては可逆的であることが示唆された。これらのメカニズムを明らかにすることにより、免疫など血液細胞機能の「若返り」や、新しい加齢メカニズムの解明、白血病発症の原因究明などにつながることが期待される。

論文情報:【Cell Stem Cell】Large-scale clonal analysis resolves aging of the mouse hematopoietic stemcell compartment

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