東京大学の西浦准教授らは患者数が少ない患者数であっても致死率をリアルタイムで推定する統計学的手法を提案し、韓国におけるMERS(中等呼吸器症候群)の患者情報を分析しました。

 重大な感染症の大規模流行が起こると統計学的な手法で致死率や死亡リスク要因がリアルタイムで推定されます。例えば2002年ごろに香港などで流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)に老いては数千人の感染者データを分析することでこれらのリスクが明らかにされました。一方韓国でのMERSの流行は患者数が185人と少なく、患者全体の致死率は20%ほどであることは明らかにされていましたが、年代別や基礎疾患の有無による致死率の違いを調べることは困難でした。

 西浦准教授らは従来の致死率推定の方法でも使われている生存解析方法に死亡リスクを予測する方法を合わせることで、少ない患者数のケースでも致死率を割り出せるように改良を加えました。これを用いて60歳以上で基礎疾患を持つ患者とそれ以外のグループに分けて分析したところ、高齢で疾患を持つ患者では致死率が約48%なのに対して、それ以外のグループでは15%未満と大きな差があることが分かりました。また、時間経過による致死率の変化も調べたところ、流行開始当初は40%と高致死率だったのに対して最終的に3割程度の致死率まで低下したことも明らかになりました。政府の対策が致死率を下げることに寄与したと考えられます。

 これまでの方法では新興感染症が流行し始めても大量の感染者が出るまではどのような人が警戒するべきなのかも良く分らないままになっていました。新しい分析方法は素早く流行対策の指針を導き出し、政府の初動を促すことに貢献することとなるでしょう。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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