東京工業大学らの研究グループは、電力の安定供給に欠かせない電力ネットワークの発電機群の同期現象を、世界で初めて理論解明することに成功した。そしてこの理論に基づき、送電網で複雑に結合された発電機群の振る舞いを効率的に解析・制御できる、電力ネットワークの集約モデルを世界に先駆けて構築した。

 複数の発電機群で回転子の位相角が揃う「同期現象」は、電力の安定供給に深く関係することが知られている。具体的には、ある発電機が同期しなくなると、その発電機や周辺の発電機は安定に運転することができなくなり、最悪の場合、停電などの重大な事象が引き起こされる。
とりわけ太陽光発電などの再生可能エネルギーは、気象条件の変化で発電量が不規則に変動するため、発電機群の同期を維持することが難しいとされる。今後、再生可能エネルギーの大量導入を見据える日本においては、効率的な発電・送電に関わる同期現象の解析が不可欠だ。

 こうした中、本研究では、電力ネットワークのモデリングや安定性解析、安定化制御などに関する一連の研究成果を、グラフ理論という数学理論の観点から検討した。これまでの同期現象の解析は数値シミュレーションによるものが主流だったが、研究グループはグラフ理論におけるネットワークの対称性に着目。結果、送電網の対称性が発電機群の同期を実現する基本原理であることが明らかとなった。

 加えて、この送電網の解析に基づき、発電機群の振る舞いの効率的解析と制御系の最適設計が可能となる、電力ネットワークの集約モデル構築手法を開発した。これにより、再生可能エネルギーの大量導入にも耐えうる電力網設計への発展に、期待が持たれている。

論文情報:【Proceedings of the IEEE】Graph-Theoretic Analysis of Power Systems

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