慶應義塾大学の遠藤克浩修士課程学生、友部勝文博士課程修了学生、泰岡顕治教授の研究グループは、ディープラーニングにより短時間の分子シミュレーションデータを学習することで、長時間の分子シミュレーションデータを生成可能な新規モデルを提案。検証実験により有用性と大幅な効率性が示された。

 分子シミュレーションは分子の動きを再現できる手法であり、生体物質、高分子、材料など用途は極めて多岐にわたり、新規材料開発や病理解明に用いられている。一方で、大きな分子や長時間のシミュレーションを行う場合は、大規模な計算リソースを必要とするため計算が困難という欠点があった。

 今回の研究では分子シミュレーションを確率論的時間発展としてモデル化し、確率論的時間発展のためのディープラーニング(人工知能の一つ)の新規モデルを提案した。繰り返し時間発展では誤差が蓄積されるという問題があったが、提案モデルには誤差低減の仕組みがあるため繰り返し時間発展が可能になった。

 今回、高分子であるポリエチレンの絡み合いが解ける現象への応用実験を行った。短時間の分子シミュレーションデータでは現象再現はできなかったが、その短時間データから提案モデルにより予測された長時間データを見ると、絡み合いが解ける現象がしっかりと再現され、通常の拡散性になっていることがわかった。

 今回の成果により、分子シミュレーションを用いて研究を行っている企業や研究機関は、計算が必要なシミュレーション量を減少できるため、研究開発の大幅な効率化が可能となる。さらに、自然言語処理、経済データ、モーションデータなどの様々な時系列データへの応用が期待される。この研究成果は2018年4月26日(現地時間)に第32回アメリカ人工知能学会(AAAI-18)のサイトに公開された。

論文情報:【AAAI Publications, Thirty-Second AAAI Conference on Artificial Intelligence】 Multi-step time series generator for molecular dynamics

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大学ジャーナルオンライン編集部

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