理化学研究所と京都大学の共同研究グループは、スーパーコンピュータ「京」を用いて、新粒子「ダイオメガ(ΩΩ)」の存在を理論的に予言した。素粒子のクォークがどのように組み合わさって物質ができているのかという、現代物理学の根源的問題の解明が期待される。

 物質は全て、クォークとレプトン(電子やニュートリノなど)と呼ばれる素粒子からできており、陽子や中性子、そしてオメガ(Ω)粒子など3個のクォークから構成される粒子は「バリオン」と総称される。原子核はバリオンが複数集まったもので、特に、二つのバリオン(クォーク6個)からなる最も簡単な原子核は「ダイバリオン」と呼ばれる。バリオンは多数見つかっているが、ダイバリオンは重陽子(陽子1個と中性子1個)以外には見つかっていない。

 共同研究グループは、新手法により数値計算誤差の指数関数的な縮小に成功。また、陽子や中性子に加え、Ω粒子などのバリオンの間に働く力を計算できるように理論を拡張した。また、複雑に絡み合うクォークの運動を高速で計算できる独自の数値計算アルゴリズムを開発して大規模数値シミュレーションを可能にした。これにより、理研のスーパーコンピュータ「京」などを用いて、約3年の歳月をかけて初めて現実世界でのバリオン間に働く力を計算した。

 その結果、2個のΩ粒子間に働く力が明らかになり、重陽子と同様に、2個のΩ粒子が弱く結合し、空間的に大きく離れて運動している可能性、すなわち新粒子ダイオメガが存在する可能性が示された。今後、世界各地で行われる重イオン衝突実験により、重陽子の発見以来、約1世紀ぶりとなるダイバリオンの新発見が期待できる。

論文情報:【Physical Review Letters】Most Strange Dibaryon from Lattice QCD

京都大学

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