東北大学の出澤真理教授と冨永悌二教授らのグループはミューズ細胞と呼ばれる人の皮膚に存在する幹細胞を用いた動物実験で、脳梗塞で失われた神経機能を回復させることに成功しました。

 脳梗塞に関連する年間医療費は1兆円を超えており、今後も高齢化に伴い増加していくことが見込まれます。薬剤や治療法の開発は進んでいるものの根本的な治療方法はなく、後遺症が残ったり寝たきりになってしまう患者が増加しています。このような状況で失われた細胞を再生させる方法が新規治療法として期待され、骨髄から分離した細胞を用いる方法が検討されてきました。しかし治療効果が限定的であり、別のアプローチからの治療法開発が望まれていました。

 研究グループが着目したのはミューズ細胞というヒトの皮膚に存在する幹細胞です。万能ではないものの、生体内に自然に存在する多能性を有しています。脳梗塞を起こしたラットにヒト由来のミューズ細胞を移植したところ、特別に遺伝子を導入することなく自発的に神経細胞に分化することが確認されました。特定の細胞への分化のために幹細胞に遺伝子を導入すると腫瘍になる危険性が高まるため、このことは治療の安全性を大きく高めてくれます。さらに細胞が増殖していくと大脳皮質から脊髄までの運動・知覚回路網を再構築することも確認されました。回復した機能は3カ月後でも維持された上、腫瘍の形成も見られませんでした。

 今回の研究成果は3年以内に事前の試験を終えて臨床応用へとつなげられる見通しです。まずは比較的小さな脳梗塞のケースの治療を検討していく事になります。成果が上がればより広い脳梗塞にも治療の幅を広げていくとしています。

東北大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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