沖縄科学技術大学院大学の宮崎勝彦研究員らの研究グループは、セロトニンを放出する神経細胞の活動を活性化すると、「報酬のエサを獲得できる可能性が高いが、それをいつ獲得できるかわからない」という状況下で報酬をより長く待てるようになることを見出した。

 研究グループは、報酬が得られる確率を変化させた場合と、獲得できるタイミングの確実さを変化させた場合に、「報酬待機行動」に対するセロトニン活性化の効果がどのように変化するかを、マウスを用いて詳細に調べた。セロトニンは脳・腸などに存在する神経伝達物質で、今回セロトニン神経細胞を光で刺激して活性化させた。

 実験の結果、セロトニンを活性化して、報酬が獲得できる確率が75%と高い場合にはマウスが報酬を待つ時間が延長した。しかし、セロトニンを活性化してもしなくても、報酬を獲得できる確率が50%または25%と低い場合、待つ時間は延びなかった。次に、セロトニンを活性化して、報酬が75%の確率で獲得できるがいつ獲得できるかわからない場合は、確実に予測できる場合に比べて待つ時間は大きく延びた(30%以上)。また、これらの結果は数理モデルを用いたシミュレーションによって説明が可能であることがわかった。

 今回の研究では、いつ結果が得られるかわからないという時間的不確実性のもとで報酬をめざす行動をセロトニンが促進することが明らかになった。この成果は、うつ病などの精神障害において、認知行動療法とあわせることで、いつ回復するか予測不能な治療を継続するための辛抱強さを効果的に高め、患者が回復途中に治療から脱落するのを防ぐことに貢献する可能性がある。

論文情報:【Nature Communications】Reward probability and timing uncertainty alter the effect of dorsal rapheserotonin neurons on patience

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大学ジャーナルオンライン編集部

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