京都大学霊長類研究所の研究グループは、霊長類のボノボが糞や土で汚れた食物に対して食欲を減退させることを明らかにした。

 動物には、寄生虫や病原菌による脅威から身を守るために、嫌悪感によってそれらを避ける「嫌悪感の適応システム」が備わっていると考えられている。例えばヒトにとって、血液・唾液・糞尿のような体液は嫌悪感をもよおす因子となる。嫌悪感とともにこうした因子を避けることで、結果的に体内に病原菌などが侵入することを防いでいるという。

ボノボは、チンパンジーと同じくヒトに最も近い霊長類。本研究では、ボノボが「嫌悪感の適応システム」を持つかどうか検討するために、汚れの状況を変えた食物を用意し一連の実験を行った。

結果、ボノボは汚れのない食物は積極的に食べる一方で、糞や土で汚れた食物には一切手を付けなかった。さらに、悪臭を放つ食物に対しては、それを取ろうとする素振りさえ見せなかった。

さらに興味深いことに、ボノボの幼児や乳児は、汚れた食物をあらかじめ注意せずに食べてしまう傾向があることも確認された。これは、人間の子どもがよく注意せずに汚れた食品を口に入れようとしてしまう行動と同じであり、ボノボが幼児期にこの行為によって病気になり、成長の重要な時期に免疫システムを発達させている可能性を示唆しているという。

また本研究では、ヒトのように見慣れない食物を避ける「新奇性恐怖症」がボノボにはあまり見られないことも分かった。これらの結果は、ボノボがヒトと同じように嫌悪感に従って摂食行動を決定していることを示すとともに、ヒトの嫌悪感の起源を探るうえでも重要な知見を提供するものといえる。

論文情報:【Philosophical Transactions of the RoyalSociety B】Feeding decisions under contamination risk in bonobos

京都大学

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