九州大学の菅浩伸主幹教授らの研究グループは、沖縄・古宇利島沖の水深40mに沈む米国の軍艦エモンズ(USS Emmons)について、革新的な方法で詳細に可視化することに成功した。

 エモンズ(全長約106m)は第二次大戦末期の沖縄戦にて日本軍特攻機の攻撃によって航行不能となり、1945年4月7日、僚艦によって沈められ、2000年に発見された。菅主幹教授らの研究グループは、衛星測位システムが利用できない水中にて与える新たな方法を提示した。多視点ステレオ写真測量にマルチビーム音響測深から得られた位置情報により、5cmグリッドのきわめて詳細な海底地形図および三次元モデルを作成した。

 マルチビーム測深(ワイドバンドマルチビーム測深機R2Sonic 2022)は、扇形に広がるビームで海底地形を広く三次元的に測る装置。水深1~400mの海底地形を1~2mグリッドの高精度で可視化することに成功している。これまでに、琉球列島の久米島・石垣島・喜界島・沖縄島などで測深を実施し、世界的にも先駆的な浅海域の高精度地形情報を得ている。

 今回、水深40mの海底で120m×30mもの広い範囲について、地理座標を持つ多視点ステレオ写真測量図を示したのは世界で初めての成果だ。対象が沖縄戦を物語る戦争遺跡なので、今後の水中戦争遺跡の保存や平和教育への活用へ向けて、貴重な資料となる。

論文情報:【The International Journal of Nautical Archaeology】Assessment and Significance of a World War II battle site: recording the USS Emmons using a High‐Resolution DEM combining Multibeam Bathymetry and SfM Photogrammetry

九州大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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